PHILOSOPHIA_SOCIETY 〔はてなブログ〕

社会のフィロソフィアを探しています。そのような世界について記述してみることをしています。

サスティナブルな共生社会に必要なサーキュラーエコノミー(循環経済)

 日本では、世界の地球温暖化対策であるパリ協定に準じて、2050年までにカーボンニュートラルを実現できるように目指すことが宣言されています。昨年において、日本国内では、GX推進法が施行されて、今後において炭素税などの課税により、環境配慮において優良な企業へのインセンティブも強化されることなどから、企業競争も新しい局面をむかえます。このようなサスティナブルな共生社会において、基幹的な資源利用における価値として、サーキュラーエコノミー(循環経済)があります。実際にどのような価値なのかについて、サスティナブルな共生社会に必要なサーキュラーエコノミー(循環経済)について、世界で主流として認識されつつあるエレン・マッカーサー財団のサーキュラーエコノミーの概念を「サーキュラーエコノミーの3原則」の説明から分かりやすくご紹介します。SDGsも含めて、世界における人倫的な共生社会の到来に期待したいと思います。

朝の美しい自然の風景。持続可能な自然との共生社会を早く実現したいものです。

もくじ

右から、リアエコノミー、リユースエコノミー、サーキュラーエコノミーというように時代の変遷とともに変化する経済の構造                         

サーキュラーエコノミーとは、

 サーキュラーエコノミーとは、日本語で循環経済と訳しています。つまり、人間社会での経済行動などにおいて、「廃棄物や汚染が出ない」ことであり、人間社会で使う全ての物質は、使用後に自然に還元しうるという経済の構造を意味しています。このような社会構造への変革を欧州やアメリカ、日本から、世界各国が目指していくものです。社会のサーキュラーエコノミー化の推進に取り組んでいるエレン・マッカーサー財団の「サーキュラーエコノミーの3原則」において、サーキュラーエコノミーには、次の3要素が必要であると提唱しています。

■■ 第一の原則 ■■

計画案の策定段階から、「廃棄物や汚染が出ない」という設計が必要となる。

■■ 第二の原則 ■■

使用する資源については、「環境負荷がない技術であり、最大限に資源の有効活用ができるという角度で洗練されている優れた技術」によって、最大限な効用がもたらすことが可能な活用方法を採用することが必要となる。

■■ 第三の原則 ■■

第一の原則と第二の原則によって計画的に管理される資源量によって、作り上げる経済循環の輪の外には、天然資源などの有効な資源をストックしたままで継続することが必要となる。

計画段階からの廃棄物・汚染の排除が必要です。

計画段階から廃棄物や汚染を排除(第一の原則について)

 第一の原則に、このような変革のために必要なこととして、厳密には、社会の新しい構造について考えるうえでは、常に新しい計画において、計画案の策定段階から、「廃棄物や汚染が出ない」という設計が必要です。具体的には、布からジャンパーへの縫製などの製造物の加工プロセスや、ミシンなどの加工用の製造機器に使用する燃料においても、第一の原則であるCO2の発生などのGHG(温暖化効果ガス)の発生なども、循環が可能な範囲となる最小限にとどめることを意味しています。例えば、工場において生産される衣服がある場合には、商品である綿・ポリエステルが素材となるジャンバーも、製造工程で使われているミシンなどの動力に使われている燃料までも、すべてが環境負荷のないことであることが第一の原則です。そして、ジャンバーの素材で綿・ポリエステルにおいても、加工プロセスにおけるミシンの燃料は、重油などのCO2の発生量の高いものから、太陽光発電などの再生可能エネルギーに変換しなくてはいけないわけです。

新しい工場には、環境負荷がないように求めたいものです。

環境に優良な高度技術によって資源を最大限に有効活用(第二の原則について)

 第二の原則には、何かの生産工程において使用される資源については、最大限な効用がもたらされる活用方法で使用することです。これは、無駄のない資源活用となり、当然に最初の原則が前提です。この無駄のない資源とは、商品などに加工される生産物に限るわけではなくて、製造工程などにおいても、無駄がないような最大限の資源活用が必要です。第二の原則では、これらの生産物の素材や、製造工程での燃料なども含めて、使用する資源に関して、最大限に有効活用できる高度な技術が必要となるというわけです。この高度な技術とは、環境負荷がないだけでなくて、最大限に資源を有効活用できるという点で洗練されている優れた技術ということです。

大理石の採掘場

経済循環にある資源量の計画的な管理によって、天然資源を継続的にストック(第三の原則について)

 第三の原則には、再生可能な資源の循環プロセスでの資源の使用量の計算による計画的な資源利用によって、地球上における石油などの化石燃料などの有限な資源はストックしたまま保存していかなくてはいけないという要件があります。 再生可能な資源の循環プロセスでの資源の使用量の計算による計画的な資源利用では、鉄鋼や、食品、繊維製品などから、人間社会における全ての生産物において使用する資源の分量の計算によって、環境負荷のない素材や、再生可能エネルギーである電力などでの燃料に切り替えることが必要です。これによって、地球上における石油などの化石燃料などの有限な資源は、未来のためにストックしておかなくてはならないということが第三の原則となるわけです。

浜辺に打ち上げられたペットボトル

日本でも必要なペットボトル回収機構

 飲料水などの容器として使用されているペットボトルなどの廃棄プラスチックの投棄が海洋汚染の原因となっていることは、大きな問題です。このような問題においても、ペットボトルでは、時間の経過によっても、環境負荷のないタイプとなる無害な物質に変化するような性質のものが開発されています。実用化には、もう少し時間がかかるようです。海外では、ドイツ・デンマークなどにおいてペットボトルの回収機構の十分な配備によって、デポジット制度の活用により、廃棄プラスチックの海洋汚染の抑止などに力を入れています。日本では、まだ普及することもないようなので悲しい気がします。

ウイ―ンの国連事務所

平和な世界秩序に貢献する新制度の増設に期待

2023年11月30日~12月13日において、UAEのドバイで開催されたCOP28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)では、カーボンニュートラルに向けてパリ協定で定めた各目標に対する進捗状況に関する世界における進捗状況を把握するための第一回グローバルストックテイクが実施されました。今までは、世界各国において独自なCO2排出量の算定で進捗状況を各国内で把握しているだけでしたが、このグローバルストックテイクでは、カーボンニュートラルに向けた各国の取り組み状況について、世界各国が情報共有して話し合うことができるようになりました。今までのような削減計画に関する話し合いが多くなっていた会議でしたが、今後において実施した環境政策によって、環境負荷の低減において、どれだけの成果が出ているかについて、世界各国が情報共有できるようになることは、人類史的にも進歩となる価値のある事象です。これからもさらにこのようなサスティナブルな共生社会に向けた平和的な秩序を安定化するような制度が拡充していくことに期待したいものです。