PHILOSOPHIA_SOCIETY 〔はてなブログ〕

社会のフィロソフィアを探しています。そのような世界について記述してみることをしています。

サーキュラーエコノミーで発展するカルンボー市(デンマーク)

サーキュラーエコノミーとは、計画段階から「廃棄物や汚染を出さない」という方針によって、なるべくゴミが出ないようにすることでもあります。ちなみにゴミの場合には、自然に還元しうる「生ゴミ」や、ゴミとなっても環境負荷のないタイプのリサイクルできるプラスチックなどがありますので、サーキュラーエコノミーの範疇にあるものがあることになります。世界におけるサーキュラーエコノミーへの取り組みには、先進的なものがあり、デンマークのカルンボー市がその代表的な事例の一つです。この地域が優れている点については、地域が一体的に協業のように「製造工程における副産物に対する対応策」について、お互いに助け合い的に役割を持っている点です。カルンボー市のサーキュラーエコノミーにおける「ゴミを作らないための設計」により地域企業は、地域のために地域とともに協業的な役割を持っています。地域企業は、お互いに資源やエネルギーをうまく循環させることで成り立っている側面もあります。

産業シンバイオシスとは、

これは、サーキュラーエコノミーにおける産業シンバイオシスという考え方で、異業種の企業が自然における生態系の循環のように廃棄物などを必要とする別の企業に循環させることで資源やエネルギーの節約を行う方式です。

このシンバイオシスとは、生物学の世界の循環的な秩序であり、「小魚は、光合成などで生きている微生物や藻類などを食べて生活していたり、この小魚を大きめな魚が主要な食べ物とすることで生態系が循環しながら成り立っている」という循環的な状態を意味しています。これを産業界に当てはめた言葉が産業シンバイオシスです。産業シンバイオシスは、カルンボー市において「カルンボー・シンバイオシス」と呼ばれることもあります。カルンボー市はこのような側面で先進的な地域となるわけです。

海外の風力発電施設の様子

カルンボー市の協業的なシステム

カルンボー市について、サーキュラーエコノミーの先進的な地域として、「具体的には、どうなっているのか」については、以下にご紹介します。例えば、アスナス石炭火力発電所の余剰熱に関しては、地域の約3500世帯の暖房に使用されています。さらには、副産物として出される「汚泥」は、農業用の肥料として販売されています。

アスナス石炭火力発電所における別の副産物である石膏は、壁材の製造業者であるジプロック社に販売されており、このジプロック社が必要とする原材料のほとんどを賄うことができるほどの分量が供給されているそうです。これによって、ジプロック社は、自然から石膏の原材料に関して採掘してくる必要がなくなり、資源の節約に貢献していることになります。

カルンボー市の産業シンバイオシス

製薬会社であるノボノルディスク社では、「薬品製造プロセスで出てきた副産物であるイースト菌飼料とバイオマスについて、イースト菌飼料が畜産業者の飼料に、バイオマスが農業用の肥料として、それぞれを再利用する」ことで地域に貢献しています。エクイノール精油所で、できる副産物であるガスは、壁材の製造業者であるジプロック社での石膏ボードの製造などに使用されています。このエクイノール精油所では、地元のティッソ湖の水を再利用するシステムを開発しています。

産業シンバイオシスの啓もうにも貢献

現在において、サーキュラーエコノミーの先進的な地域であるカルンボー市における産業シンバイオシスへの参加企業は、11社です。このカルンボー市では、このような産業シンバイオシスに1970年代から取り組んでおり、歴史的な経験知も豊富です。

クリーンエネルギー・システムの創設に際しては、地域での雇用創出に役立っており、2300人以上の雇用を創出しています。このような先進的な産業シンバイオシスについて学びたいための人のためにカルンボー市は、教育機関の誘致や、世界から集めた「サーキュラーエコノミーにおける産業シンバイオシス」などに関する知識についての情報サイトの運営などでも活動も展開しており、注目を浴びるほどの人気です。

シェアシマのビジネスモデルの一つ

国内における産業シンバイオシス的なサービス

このような先進的な地域が活動しているなかで、日本国内の動きは、どうでしょうか。 どちらかというと民間企業での企業サービスが先行的に展開している状態です。民間企業では、製造工程でできた副産物などの販売で資源の節約につとめる企業や、自社用のカーボンニュートラルに向けた新技術(新しい燃料)などの販売を行ったりしています。さらに長野県にある ICS-net 株式会社によるシェアシマ事業では、食料ロス削減のために食品工場でだされている不用な副産物を必要な企業に販売するBtoBのサービスがあります。

例えば、ある食品工場で出来た副産物である「酒粕」や「おから」について、別の食品製造企業が必要としていれば、販売するというシステムです。これ以外にも、ある食品製造企業が欲しい原材料を探してマッチングもしてくれます。これらも、サーキュラーエコノミーにおいて、機能的に効用を発揮してくるわけです。さらに食品でのOEMもシェアシマOEMのサービスがあり、話題になっています。

豊かな自然を将来にまで存続させていくことが必要です。

サーキュラーエコノミーの産業シンバイオシスから将来へ

このようなサーキュラーエコノミーにおける産業シンバイオシスは、当然に計画段階から、SCOP1.2.3や、カーボンニュートラルといった倫理的な規制までも適合していることが必要です。カルンボー市における暖房用の熱、家畜用飼料、農業用肥料などは、無料で提供されているものもあり、プライべートな生活領域でも、ビジネスの活動領域でも、無料化が進んでいます。将来的には、販売されている商品までも無料化していく可能性があります。理由としては、SDGsの理念がこのような方向性を持っているからです。「SDGsにおける誰もが救われる社会には、平等な無料提供が必要になる」ともいえるからです。

このようなサスティナブルな共生に向けた社会が到来することに期待したものです。そして、地球の豊かな資源は、安全に維持し続けるなかで、海や山といったような角度からも美しい景観へと本来の姿を取り戻していくことにも期待したいです。地球温暖化への懸念が払しょくされて、明るくて安全な共生社会が一日でも早く訪れるように地球上の誰もが様々な問題に取り組んでいくことも必要です。「本当に必要なものを見抜いて購入する」といったミニマリズムの理念も、大切にしたいものです。これらの未来の理想像に向けて、世界が、着々と発展していくことを望んでいます。