個人情報は第二の石油となる時代・・・・現実はどうなっているのか
個人情報の活用で巨大収益が企業で作り上げられているなかで、個人情報って、一般の個人が自分で管理して活用するのが本当の正しいところだと世界的にも言われています。しかし、現状はどうでしょうか。日本の場合において、個人側だけは正しくなっていないところがあるとも言われています。
「個人情報で少しは収益を還元できるようにするにはどうしたらよいのか。」ということを考えるといくつかの方法が現在あります。このいくつかの方法とは、情報銀行の活用や、アンケートサイトなどでの活動が現在において、個人が個人情報を活用して収益にできる場となっています。
個人情報の活用が企業においてどのようなかんじで行われているのかについて概観した後で、個人が自分の個人情報で正当に収益を高めていくために課題と言われていることについてご紹介いたします。
GAFAの巨大収益で知ることができる個人情報の収益力
GAFAの巨大収益をニュースや本で見ることも多いかと思いますが、個人情報は今や第二の石油と言われるほどに事業収益をあげられるものになっています。
「GAFAって、何だろう」となるとそれは、Google、AMAZON、FACEBOOK、APPLEのことです。Google、AMAZON、FACEBOOK、APPLEでは、それぞれの企業が、個人情報を匿名加工情報などにしたうえで、商品開発や広告事業などの企業活動において活用して大きな収益を上げているのです。
別のこととして個人情報は個人のものであるから、個人が管理者となって収益の還元を受けるべきとの動きもあります。
このような動きもあって、APPLEでは、個人情報の活用による収益に依存しない企業体質に向けて方針を作っています。しかし、そもそも個人情報は、有効なものであり、様々なかたちでこの4社の収益に大きく貢献しています。
AMAZONのAWSは、日本国内企業でもおおいに活用されている
AMAZONのAWSなどは、個人情報の加工により作り上げた匿名加工情報のビッグデータによる分析などによって事業展開を図っています。AWSでは、様々な商品開発や、クライアント企業がこのAWSのビッグデータの分析から事業戦略の立案に取り組めるサービスなどを展開しています。
このようにAWSなどは、世界中から収集した個人情報の活用により、最適な商品の販売方法の立案などのためのツールを提供しています。日本の大手企業でもAWSのサービスを利用した企業活動が盛んにおこなわれています。
国内では、Tカードが基盤となるCCCなどが有名
日本国内でいえば、CCC(カルチャーコンビニエンスクラブ)や、YAHOO株式会社のデータソリューションサービスなどが有名です。CCCは、Tポイントカードの個人情報を基盤としており、驚くほど細かい消費行動まで分析できます。もちろん個人情報保護法があるので、個人情報は匿名加工情報に変換したうえでの活用となります。
CCCでは、渋谷、新宿、池袋の若い女性の活動方針の分析なども行っています。別のCCCの調査では、最近の若い女性は、流行の商品であっても、自分の趣味に合わなければ買わない傾向(約88%)になってきていることを明らかにしています。CCCでは、AWSのようなビッグデータによるソリューションサービスを展開しています。
ソフトバンク、YAHOO、LINEから収集する個人情報からなる巨大なマーケテイング基盤を計画
YAHOO株式会社のデータソリューションサービスなどにおいて、YAHOO、LINEなどの個人情報も匿名加工情報に加工して活用できるようになるようなマーケテイング基盤をソフトバンクで考えています。ソフトバンクグループでは、このソフトバンク、YAHOO、LINEの個人情報の活用により、GAFAや世界に対しても競争力のある日本のマーケテイング基盤の拡充を図っていく計画となっています。
個人の側には、メリットが見えてこない気がする
このような現状から日本国内の個人情報は、企業側に取られているといった気分がします。しかし、日本の企業もしっかりと合法的に個人情報を匿名加工情報にして活用しているわけです。
何がいけないのかというと、日本には、現在、個人情報の活用に関して、拒否することができる権利を個人情報保護法で明確に記載していないところにあります。
個人情報利用の承諾をしない場合に、国内で事業サービスが受けにくい分野も
この日本国内では、どのインターネットサービスでも、クレジットカードでも、個人情報の活用部分だけを明確に限定して拒否できません。個人情報の活用の許可のチェックボックスに承諾の意思を示さなければ、ほとんど何もサービスが受けられない領域もあります。
なにかの事業サービスを個人が利用する場合においても、個人情報の活用の許可のチェックボックスに承諾のサインをしないで、受けられるサービスが、ないことが多くなっています。小売業や不動産業などは、別ですが、個人情報の活用の許可がないとサービスを受けられない局面はたくさんあると思います。
EUのGDPRでは、個人情報活用に関する拒否権を明記
日本の個人情報保護法とは違って、EUの個人情報保護法であるGDPRには、個人情報の利用に関する拒否権を明確に記載しています。この違いの大きさが日本の個人情報の活用における氾濫的な状態を招いていると言われています。
日本の民間人は、第三者による個人情報の活用を強いられているかもしれない
このままでは、個人が所有して管理すべき個人情報は、個人になかなか返ってこない現状が存続してしまうかもしれません。これではいけないと民間の個人として主張すべきことにも思います。個人情報やサービス内での個人の活動履歴は、「サービスの向上という名目」で、当該の企業に活用されているわけです。さらに個人情報は、適法的に加工されて匿名加工情報となり、サービスソリューションとして提供されていることもあるわけです。
登録する時に必要な最低限の個人情報は、ともかくとして、当該の企業における個人の活動履歴の活用という部分において、個人の裁量となる拒否権が必要に思います。
個人の権利をさらに拡充するべき
日本の個人情報保護法は、現在定期的に見直しや改善を行っています。個人が所有して管理すべき個人情報を各個人がしっかりと手元においておけるようにするには、個人情報の利用に関する拒否権などの個人の権利をさらに明確に個人情報保護法に記載すべきでしょう。
このような変革が実現すれば、個人情報の活用において、個人による活用での収益性は、今よりも少しずつは高まると思います。
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